【壱話:覗かれた喪服】おみつは、結婚後たった半年で最愛の夫を亡くす。それから3年の時が過ぎたが、未だに夫のことを思い出しては自分を慰める日々。そんな彼女には暗い過去があった。男を知らぬまま夫と結婚。飽くなき性への興味と欲望が夫を死に…いったい彼女の心に巣くうものとは?【弐話:好色一代女】夏も終わりかけた頃。江戸で金魚売りを営む男、彼には仕事帰りにいつもする日課があった。それは近所でもお盛んだとウワサの後家(未亡人)の家を覗くこと。毎日違う男を連れ込んで情事に耽っている姿を楽しむのだった。とある日、彼が覗くと後家と一緒にいたのは、親しくしていた瓦版売りの男。悔しそうに指をくわえていると、以前後家と寝ていた男が声をかけてくる。彼によればその後家は「相模女」つまり真性の好色女だと教えられるのだが…。